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after comment 《柳葉魚を飠べるからだ》

撮影:前澤秀登 提供:STスポット「ラボ20#23」
撮影:前澤秀登 提供:STスポット「ラボ20#23」

 

 5月のオーディションから始まり、半年間、自分の手で創る劇場作品と向き合い続けるという初めての経験。自分のからだで起きている変化やNe Na labで「食べる」をコンセプトに置いたこと、ダンスとして捉えてみたいことをきっかけに、「プロセスを含めて作品にする」ことを目指して試行錯誤でした。

 

 全5回公演、15匹の柳葉魚。1つの軸はありつつ、全然異なるものとなり、最後の千秋楽に踊っている感覚としてはやっと″この道″というの見えはじめるものがあった。踊りだけじゃなくていろんな興味を取り込んでいる作品。味覚をはじめ、柳葉魚というモチーフ、カメラ、2人の関係性、親子的なやりとり、身体の中と外… 結果として、2人の身体差が鍵となる作品になった。身体の中を知ることは自分でも相手の身体でもできなくて、感じるものやそこから滲み出てくるものも異なる。それをその場で″実体感のある感覚″として起こして、どう共有するのか。これを目指していたのに、外側から塞いでしまうことが多かった。「抽象と説明、身体に繊細になって、身体感覚を起こして、そしてそれを外へと共有すること。」これからも課題となりそうです。

 

 今回得た抽象的な感覚ー作中の写真(過去)から動きを見出し渦巻いて「今」をやりとりする時の空間の中で空気ごと纏ってうごく感覚ーこれが「飠べる」「踊る」感覚なのだと思います。それを自分たちだけで完結せず、外に開いていきたい。結局最後まで「作品」も「ダンス」もまだまだになってしまったけれど、答えも終わりもない続くもの。そして、どんなに外側の器を並べても起きなくて、中の″実″そのものが作品であり、ダンスだと思います。接続していけますように。

 

横浜STスポット、ラボ20という歴史と愛のある贅沢な環境の中で上演ができたこと、″今″見えるものまで踏めたことがとても幸せです。その分、甘さの残る悔しさもある。作品に寄り添って創ってくださった皆様、観てくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

Ne 杉本音音

 

 

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